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多助さんは、背負っていた売り物の笠を差し出しました。
多助「この笠、売れ残りだけど、一組差し上げましょう。
明日の正月には間に合わなかったが、年が明けたらアンタが売ればええ。」
ゴンベ「そんな!」

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多助「年の終わりの人助けです。荷もなくなってさっぱりした!」

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ゴンベさんは、自分の糸玉をさしだしました。
「ならばせめて、この糸玉を持って行ってくだせえ!」
多助「だからさっぱりしたって・・・」

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言いかけた多助さんでしたが、思い返し、
「そうですな。そうしましょう。
ワタシは笠が売れて、糸玉を買ったつもり。
お宅は糸玉が売れて、笠を買ったつもり。
オタネさんに、全部売れたよ!と、話しておやんなさいな」
ゴンベ「ありがとうごぜえます!」
多助「こちらこそ。外は寒くても、温かい気持ちになりました。
お互いに気分良く、新年を迎えましょう」

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多助さんは、懐からにぎりめしを取り出しました。
「良かったらこれ。」
ゴンベ「へっ?」
多助「ウチのカカさまが、こさえてくれた握りメシ。」

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多助「コレも残りモンで悪いけど、帰り道で食ってください。
ワタシは隣村だから。」
ゴンベ「ハァ、コレはどうも!」

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多助「良いお年を」
多助さんは去って行きました。
ゴンベ「良いお年を!」
ゴンベさんは、心を込めて多助さんに叫びました。

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ゴンベ「いやあ、イイヒトがいたもんだ。これも、お地蔵様のお引き合わせだべか。
餅は買えなかったが、オタネのお土産ダ」
大切に懐におにぎりをしまいました。